交通事故

むち打ちの後遺障害等級認定のポイント|根症状型と脊髄症状型

症状が回復しなくなった「症状固定」以降の後遺症に関しては、治療費などの通院中にケガに関する損害賠償請求とは別に、後遺症について追加で損害賠償請求できることがあります。

もっとも、そのためには、後遺障害等級認定手続で後遺障害の等級に当たると認定されなければいけません。

むち打ちの後遺症はその認定が難しい問題があるのですが、まったく認定されないというわけでもありません。

認定のため大切なポイントの一つが、むち打ちの症状や内容、治療に関する事情の整合性、特に、自覚症状・神経学的検査・画像検査の整合性です。

では、どういう場合にその3つの「整合性」があるといえるのか?
その枠組みとなっているのが、むち打ちの症状タイプの中の二つ、根症状型と脊髄症状型です。

ここでは、むち打ちの後遺障害等級認定のポイントの一つ、根症状型と脊髄症状型の症状やその原因、検査結果の特徴について分かりやすく説明しましょう。

1.むち打ちと後遺障害認定の基本

根症状型、脊髄症状型は、後遺症が残る可能性があるむち打ちのタイプの中でも、それぞれ特徴が対照的になることが多く、様々な事情が根症状型、または脊髄症状型の特徴に統一されていれば、交通事故が原因であるむち打ちによる後遺症があるとして、後遺障害等級認定を受けられる可能性が高くなります。

主な後遺障害の認定条件は、一般的には「後遺症があると医学上認められること」「交通事故が原因でケガをし、そのケガが原因で後遺症が残ったと認められること」「後遺症の症状による仕事や家事などをする能力、「労働能力」の低下が制度上定められた「等級」に相当すると認められること」です。

むち打ちの後遺症が後遺障害に認定された場合、等級は、基本的に一番低い14級か、その二つ上の12級のみです。
神経根型にせよ脊髄症状型にせよ、むち打ちの後遺症は、14級の後遺障害に認定されることすら困難という現状があります。

むち打ちは、タイプに関わらず後遺障害の認定を受けるうえで大きな問題となる特徴があります。
その理由は「痛みやしびれなど、被害者の方にしかわからない「自覚症状」がほとんど」「むち打ちの自覚症状に似た症状は、日常的なトラブルでも生じやすい」「画像検査や神経学的検査で異常がないのに症状が出ることがある」などです。

とはいえ、全く認定がされないわけではありません。認定に際しては、具体的事情に応じていくつかのポイントが総合的に判断されていると考えられています。

そのポイントの中でも、「自覚症状・神経学的検査・画像検査が矛盾せず噛み合い、整合していること」は、後遺症の存在・交通事故との因果関係を証明するうえで大きな役割を果たす武器となります。

交通事故でむち打ちに!正しい後遺障害認定のためのポイント

[参考記事]

交通事故でむち打ちに!正しい後遺障害認定のためのポイント

どういう場合に、整合性があるといえるのか?
その枠組みとなりうるのが、根症状型・脊髄症状型という、むち打ちのタイプなのです。

2.むち打ちのタイプ

(1) むち打ちの4つのタイプ

交通事故で首の骨(頸椎)、骨の間のクッションである軟部組織(椎間板)や筋肉などが損傷し、場合によっては神経も損傷してしまう。これがむち打ちの仕組みです。

むち打ちは、その症状や原因などによって、おおざっぱには4つのタイプに分類されています。

  • 頚椎捻挫型
  • 根症状型
  • 脊髄症状型
  • バレ・リュー型

根症状型と脊髄症状型は、(あくまでむち打ちの中で比較的にではありますが)後遺障害と認定されやすいタイプです。
神経症状(神経損傷による手足などの痛みやしびれなど)が生じ、後遺症が残る可能性がある一方、自覚症状に特徴があり、検査で異常が発見される可能性があるためです。

ちなみに、脊髄症状型は、現在では医学的には、むち打ちというより「脊髄損傷」と言う類型のケガ・後遺症に分類されることもあります。首・背中・腰のどこであろうと、脊髄が損傷を受けたことに変わりはないからです。

一方、頚椎捻挫型は、ほとんどの場合は神経症状がなく後遺症が残りません。バレ・リュー型は、重い後遺症が残るものの、原因不明で認定条件を証明することが困難となっています。

なお、その他にもいくつかのタイプがありますが、バレ・リュー型と同じように難しい問題がありますので、ここでは紹介を省略します。

繰り返しますが、一般的に、むち打ちは症状や原因が分かりづらく、検査で明らかな異常も生じにくいため、後遺障害等級認定は困難です。

それでも、根症状型と脊髄症状型のむち打ちは、症状の特徴、検査結果が出る可能性が比較的あること、その結果の違いから、後遺障害等級認定のポイントとなるむち打ちに関する事情の整合性を判断する枠組みになります。

(2) 根症状型と脊髄症状型の違い

端的に言えば、

  • 根症状型:神経が頚椎から出てきた部分(「神経根」)が損傷するので片側上半身だけに症状が出る
  • 脊髄症状型:頚椎内部の神経の束、「脊髄」が損傷するので、両側、さらには下半身にも症状が出ることがある

ことがポイントです。

3.整合性と後遺障害等級認定

自覚症状、神経学的検査、画像検査について、上記の表のような根症状型または脊髄症状型の特徴にどれだけ統一されているか、どれだけ明らかになっているかは、後遺障害の認定、認定された場合の等級に影響を与えることがあります。

画像検査で異常が見つからなくても、自覚症状と神経学的検査が根症状型または脊髄症状型の特徴、どちらかに整合していて、かつ、他の認定ポイントも十分備えていれば、14級に認定される可能性があります。

一方、12級では、外傷性の神経異常を客観的に証明しなければいけません。
つまり、画像検査結果で外傷性とわかる異常があることが、実務上ほぼ認定の前提なのです。

そのうえで、画像検査結果が、自覚症状・神経学的検査などと、根症状型と脊髄症状型どちらかについて、矛盾なく噛み合っている必要があります。

自覚症状や神経学的検査などの他覚的所見から分かる症状の内容や推移、治療経過などについて、14級の説明で触れた整合性以外の認定ポイントが、できる限り満たされていることも、もちろん不可欠です。

[参考記事]

むち打ちで後遺障害12級が認定されるケースとは?

4.まとめ

交通事故のむち打ちでも、後遺障害が残るおそれがあり、かつ、比較的、後遺障害等級認定がされやすいため、損害賠償金が増えやすいタイプが、ここで取り上げた神経根型と脊髄症状型です。

しかし、後遺障害等級認定には高いハードルがあることに変わりはありません。自覚症状をしっかりと医師に説明し、神経学的検査については様々なものを継続し、そして、できる限りMRI検査を受けるようにしてください。

後遺症が残る可能性が高い重症で、弁護士費用特約に加入しているため費用倒れのリスクがない方は、できる限り早くから弁護士に依頼をしましょう。医師への説明の仕方、受けるべき検査の種類、認定の見通しについて、助言を受けられるでしょう。

弁護士に依頼すれば、損害賠償金の相場が上がりますから、支払われるお金が増える可能性も高くなります。

泉総合法律事務所は、これまで交通事故でむち打ちになってしまった方の損害賠償請求をお助けしてまいりました。皆様のご相談をお待ちしております。

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