交通事故

手指の欠損・機能障害|後遺障害等級と賠償請求のポイント

「交通事故で手の指を切断してしまった。指が曲がらなくなってしまった。」
そのようなケースでは、後遺障害の等級に当たると認定されることで、後遺障害慰謝料や逸失利益など、治療中の医療費などとは別に追加の損害賠償金を手に入れられます。

どのような場合にどの等級に該当し、そしていくらの損害賠償金を手に入れられるか、目安が定められ公表されています。

しかし、手指の欠損障害にせよ機能障害にせよ、逸失利益などの損害賠償金が不当に低くなってしまうおそれがあることに注意が必要です。保険会社は、示談交渉で後遺障害の悪影響を低く見積もってきます。

ここでは、手指の欠損・機能障害について、基本的な用語や検査方法、基準などに触れつつ、後遺障害等級や賠償請求などのポイントを分かりやすく説明します。

1.欠損障害について

欠損障害の「欠損」とは、まさしく手指を失ってしまうことです。

ところが、後遺障害等級認定手続では、指を切断したところが「指先の骨の中間地点から、根元側の関節の手前まで」のあいだのどこかであるケースは、欠損障害ではなく機能障害とされています。
(上記に該当する方は機能障害の項目をご覧ください。)

(1) 欠損障害の等級と損害賠償金額

後遺障害等級認定により請求可能となる損害賠償金の中でも、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」は、等級によりその金額などの目安が定まっています。

後遺障害慰謝料は後遺障害の精神的苦痛への損害賠償金で、金額について、その目安が等級に応じ定まっています。
弁護士に依頼することで自賠責保険や任意保険よりも高額な相場である「弁護士基準(裁判基準)」での請求、増額が見込めます。

逸失利益は後遺障害の悪影響により将来生じるだろう減収を埋め合わせる損害賠償金です。

被害者様それぞれの収入や年齢などの具体的事情に応じて計算されますが、特に大切な計算項目が「労働能力喪失率」。後遺障害によりお金を稼ぐ力がどれだけ失われたかを示すものです。
等級表では労働能力喪失率の目安が定められています。

 

等級

慰謝料

自賠責基準

慰謝料

弁護士基準

労働能力喪失率

両手の手指の全部を失ったもの

3級

861万円

1990万円

100%

1手の5の手指又は親指を含み4の手指を失ったもの

6級

512万円

1180万円

67%

1手の親指を含み3の手指を失ったもの又は親指以外の4の手指を失ったもの

7級

419万円

1000万円

56%

1手の親指を含み2の手指を失ったもの又は親指以外の3の手指を失ったもの

8級

331万円

830万円

45%

1手の親指又は親指以外の2の手指を失ったもの*1

9級

249万円

690万円

35%

1手の人差し指、中指又は薬指を失ったもの

11級

136万円

420万円

20%

1手の小指を失ったもの

12級

94万円

290万円

14%

1手の親指の指骨の一部を失ったもの

13級

57万円

180万円

9%

1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

14級

32万円

110万円

5%

なお、上記の自賠責からの後遺障害慰謝料の金額は2020年4月1日以降に定められたものです。それ以前の場合、少し金額が低くなっている等級もあります。

等級表では「手指を失った」と書かれていますが、指を少しでも失えば欠損障害になるのではありません。
「手指を失ったもの」とは、親指であれば「指節間関節」、その他の手指は「近位指節間関節」以上を失ったものとされています。

(2) 示談交渉では逸失利益に注意

欠損障害で後遺障害等級認定自体が問題になることは少ないでしょう。
誰の目から見ても上記の基準を満たすことは明らかにしやすいからです。

問題は認定後の示談交渉です。

自賠責保険からの支払いには上限額があるため、優先支払いがされる後遺障害慰謝料以外の損害賠償金は加害者側任意保険会社に請求することになるでしょう。

任意保険会社としてはできれば保険金の支払いをしたくないため、しばしば具体的な事情に基づいて減額要求をしてきます。

一般的に問題になりやすいのは逸失利益です。手指の欠損障害でも例外ではありません。

逸失利益は簡単に言えば「年収×将来の勤労年数×労働能力喪失率」で計算されます。高額になりやすい一方、労働能力喪失率が低くなると逸失利益の金額は大きく下がるおそれがあります。

労働能力喪失率は、年齢や職業、後遺障害の内容など、被害者様に関する様々な具体的事情次第で上下し、特に示談交渉の段階では等級表の目安より下がってしまうものです。

手指欠損では、被害者様が仕事でどの指をどれだけ必要とするのか?といった点について、保険会社側が労働能力喪失率、ひいては逸失利益を減らすために様々な主張をしてくるおそれがあるのです。

労働能力喪失率の低下を最小限に食い止めるため、弁護士に依頼して保険会社に対抗しましょう。弁護士ならば、被害者様の後遺障害の内容・程度と仕事の関係などを法律的な主張に組み立て、説得力をもって反論できるからです。

2.機能障害について

手指の機能障害の典型例は、指が曲がらなくなる「関節の可動域制限」です。
もっとも、指の「機能」は物をつまむ、手触りを感じるなどとても多彩ですから、指先をある程度失ってしまった場合や指の感覚がなくなってしまった場合も、機能障害となっています。

指先の切断は客観的に明らかにしやすく、認定に問題は生じにくいでしょう。

問題は関節の可動域制限です。基本的に医師が被害者様の指を動かして測りますので、医師によってばらつきが出てしまいやすいのです。

可動域の角度は認定を受けられるかどうかに直結します。
測定前に弁護士に相談して助言を受けるようにしてください。

手指の機能障害と損害賠償金などの目安は以下の表の通りです。

 

等級

慰謝料

自賠責基準

慰謝料

弁護士基準

労働能力喪失率

両手の手指の全部の用を廃したもの

4級

737万円

1670万円

92%

1手の5の手指または親指を含み4の手指の用を廃したもの

7級

419万円

1000万円

56%

1手の親指を含み3の手指の用を廃したもの又は親指以外の4の手指の用を廃したもの

8級

331万円

830万円

45%

1手の親指を含み2の手指の用を廃したもの又は親指以外の3の手指の用を廃したもの

9級

249万円

690万円

35%

1手の親指又は親指以外の2の手指の用を廃したもの

10級

190万円

550万円

27%

1手の人差し指、中指又は薬指の用を廃したもの

12級

94万円

290万円

14%

1手の小指の用を廃したもの

13級

57万円

180万円

9%

1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

14級

32万円

110万円

5%

【「手指の用を廃したもの」の内容】
手指の用を廃したとは、手の指として働きを失ってしまった状態を指します。
おおまかには、①手指の末節骨の半分以上を失ったケース、または②中手指節間関節もしくは近位指節間関節(親指の場合は指節間関節)に著しい運動障害を残すケースの2つに分けられています。
より具体的には、以下の4つのタイプがあります。
(a)手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの
(b)中手指節間関節または近位指節間関節(親指の場合は指節間関節)の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
(c)親指については、橈側外転または掌側外転のいずれかが健側の1/2以下に制限されているもの
(d)手指の末節の指腹部および側部の深部感覚および表在感覚が完全に脱失したもの

3.まとめ

手指の欠損・機能障害は、どのような障害のどの等級に認定されるのか、または、いくら損害賠償金を手に入れられるのかの見通しがつきにくいものです。

手指の骨や関節は多く複雑です。どの指のどこからどのような障害が残ってしまったのかを把握することすら大変なこともあるでしょう。

機能障害では、関節可動域測定の正確性・画像や神経検査の内容次第で、適切な認定を受けられない恐れがあります。
欠損障害でも、保険会社との交渉のなかで逸失利益などの損害賠償金を大きく減額されてしまうリスクを無視することはできません。

弁護士は後遺障害等級認定手続に関わる法律的な観点から被害者様に助言し、被害者様が医師や保険会社との対応を理解するうえで役に立つ情報を提供します。

弁護士に依頼することで、損害賠償金相場の基準額上昇による損害賠償金増額や、保険会社による減額要求への反論も見込めます。是非、弁護士にご相談ください。

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