奨学金が返せない場合|保証人に迷惑をかけずに解決するには?
専門学校や大学等への進学率の高まりとともに、奨学金を借りているという方も多くなっています。
奨学金を借りる際には、機関保証を除けば、家族や親戚などが保証人となっていることが通常です。
このような場合に、奨学金の返済が滞ってしまい「自己破産」や「個人再生」をするとなると、保証人に残りの奨学金を支払うよう請求が行くこととなります。
保証人がこれを支払えないとなると、保証人も主債務者と同様に債務整理をするしかない、という状態になります。
親などに迷惑をかけることはなるべく避けたいと思うでしょうが、奨学金を借りている方は、どなたであってもこのような事態になってしまうことが考えられます。
ここでは、奨学金が返せないという場合の、保証人に迷惑をかけない解決方法を説明します。
このコラムの目次
1.奨学金と自己破産・個人再生
自己破産は、裁判所を通して借金を全額免除してもらう制度、個人再生は、こちらも裁判所を通して借金を大幅に減額してもらう制度です。
利用のためにはそれぞれに様々な条件を満たす必要がありますが、認められれば今の借金生活を脱却し、新たな人生をスタートすることができます。
しかし、奨学金を借りている方が自己破産・もしくは個人再生をすると、連帯保証人に多大な迷惑がかかってしまいます。
先程述べたように、奨学金を借りる場合、親などが(連帯)保証人になっていることが多いです。
そうした中、主債務者(子)が破産・個人再生するとなると、保証人(親)に残りの奨学金を支払うよう請求が行くことになるのです。
保証人は主債務者とほぼ同じ立場にあるので、この請求を拒むことが出来ません。
保証人に請求がある場合、基本的に、残っている奨学金を一括で返済するよう言われます。
そして、保証人がこれを支払えないとなると、保証人も主債務者と同様に自己破産や個人再生などの債務整理手続きをするしかない、という状態になります。
奨学金の契約の際に機関保証を利用していると、主債務者が破産したとしても、残っている奨学金を返済するのは保証会社ということになります。このため、保証人に迷惑をかけることにはなりません。
しかし、機関保証を利用する場合、奨学金の支払いを滞納し続けることにより、機関保証が代理で弁済を行います。こうなると、債務者はその後機関保証に返済しなければなりません。機関保証の取り立ては日本学生支援機構よりも厳しく、精神的に疲弊してしまう人も多いでしょう。
2.自己破産・個人再生以外の対処法
そこで、保証人・連帯保証人に迷惑をかけずに奨学金の返済するためには、以下のような対処法があります。
(1) 返還期限猶予制度を利用する
「災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合」など、一定の基準を満たす場合には、奨学金の返還期限猶予を申請することができます。
猶予は1年ごとに申請が必要となりますが、通算で10年まで猶予を受けることができます。
猶予期間に応じて返済終了年月も延長されますが、現在収入が少ないものの、今後収入が回復して返還できる可能性がある方にとっては非常に有効な制度です。
参考:日本学生支援機構「返還期限猶予」
(2) 減額返還制度を利用する
減額返還制度では、毎月の返還額を減らした上で返済していきます。返済の合計金額が減るわけではないのですが、毎月の奨学金返済額を抑えることができますので、日々の生活がギリギリだという方は検討すると良いでしょう。
1回の申請につき、1年の減額返還が適用されます。通算で15年延長可能です。
参考:日本学生支援機構「減額返還」
(3) 返還免除制度を利用する
返還免除を受けられると、奨学金の返還を免除されます。つまり、返済をしなくても良くなるのです。
返還免除制度を利用できるケースは、当然ながら限られています。
具体的には、死亡または心身の障害により労働能力を喪失したときなどです。
参考:日本学生支援機構「返還免除」
なお、過去には在学中にとくに優れた業績をあげたときに特別免除制度が適用されていましたが、これは現在廃止されています。
(4) 任意整理を検討する
奨学金以外にも借金がある場合は、任意整理によりその借金問題を解決することが可能かもしれません。
たとえば、奨学金の返済に加えて、A社及びB社への返済がある場合に、A社及びB社への返済額を抑えられれば、奨学金については問題なく返済できるとします。
この場合に、A社及びB社との間で任意に債務を整理する交渉をすることで、利息の免除・返済期限の延長などを認めてもらい、毎月の返済額を抑えることができる可能性があります。
これにより、奨学金を滞りなく返済できれば、保証人に迷惑をかけることもありません。
なお、JASSO(日本学生支援機構)は任意整理に応じてくれませんので、奨学金自体を任意整理することはできません。任意整理では、あくまで奨学金以外の借金を減額してもらうことになります。
3.奨学金による借金問題も泉総合法律事務所へご相談を
泉総合法律事務所では、「奨学金を返せない」「今後返すだけの経済的余裕がない」という方の借金問題を多数解決してきた実績があります。
ここまで述べてきたとおり、奨学金を借りている状態で自己破産・個人再生をする場合、保証人に迷惑をかける可能性が高いと言えます。
泉総合法律事務所では、多くの解決実績から、どのような方法を採ることが最適な解決かという判断を行い、分かりやすくご説明いたします。
借金問題に関するご相談は、無料で行っております。
川越市、坂戸市、東松山市、ふじみ野市、富士見市、東武東上線・JR川越線・西武新宿線沿線にお住まい、お勤めの方の、奨学金をはじめとする借金問題は、泉総合法律事務所へご相談下さい。
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