川越で債務整理するには|埼玉県川越市の最新債務整理動向を徹底解説
埼玉県では年間4,000件に近い自己破産が行われています。中でも、川越市は、埼玉県の中核に位置する都市であり、産業も活発であることから、債務整理の件数も一定程度多いことが予想できます。
そこで今回は、川越市で債務整理を検討されている方のために、埼玉県の債務整理についての最新統計や、川越市で自己破産・個人再生を行う場合に、手続きすべき裁判所や裁判所費用などを説明します。
このコラムの目次
1.埼玉県の置かれた状況
総務省の「平成26年全国消費実態調査」によると、埼玉県の二人以上世帯の負債現在高は、全国で第3位となる、一世帯当たり6,176,000円で、あまり喜べる状況にはありません。
中でも、住宅・土地についての負債が大きく、全国第3位となる、5,326,000円となっています。
同調査によると、埼玉県は、年間収入が比較的高く、全国第9位の平均6,719,000円ですが、他方で、貯蓄現在高が収入の割に低く、全国で第18位の平均16,489,000円となっています。
こうした数字からも、東京都内やその近郊での仕事から比較的高い収入の割には、住宅ローンの負担が大きい現状がおわかりいただけるでしょう。
2.埼玉県の最新債務整理動向
では、埼玉県の債務整理はどのような状況あるのでしょうか。
(1) 平成29年度の自己破産件数
最初に、自己破産の状況です。
司法統計を見てみると、全国における平成29年度の破産新規受付事件数は76,015件で、既済事件数が75,069件、未済事件数が23,242件でした。
一方、さいたま地方裁判所全体では、同年に3,800件の新規受付があり、既済事件3,822、未済事件1,045という結果です。
自己破産件数に関しては、大きな金融危機等がない場合は例年大きく変化することはなく、埼玉県内では、年間でも3,000件~4,000件程度が申立てられています。
川越市のみの統計はありませんが、中核にあたる都市と考えると、一定程度の数の自己破産件数が見込まれるでしょう。
司法統計では、審理期間の統計も報告されています。全国規模の統計となりますが、審理期間としては、1ヶ月以内が最も多く28,046件 、次に3ヶ月以内で19,173件という結果です。
多くの自己破産は、1年以内に申立てから審理集結までが行われています。同時廃止の場合は、申立てから審理終結まで3ヶ月以内の事件が大半です。
(2) 平成29年度の個人再生件数
次に、個人再生の統計結果を説明する前に、個人再生という手続自体について少し説明しておかなければなりません。
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生という2種類の手続きがあります。
小規模個人再生は、主に個人事業主を対象にしており、不定期でも継続して一定の収入が見込まれる方が対象です。
対して、給与所得者等再生は、サラリーマンを代表例とする、毎月決まったお給料がある方向けの個人再生方法となります。
もちろんサラリーマンの方でも、小規模個人再生は可能であり(法律上は、小規模個人再生が個人再生手続の原則、給与所得者等再生がその特則という位置づけです)、どちらの手続にすべきかは、個別のケースによって異なってきます。
平成29年度の司法統計によると、全国では10,518件の再生既済事件がありました。このうち、小規模再生が9,543件、給与所得者等再生が796件です。
他方埼玉県内では、小規模個人再生については、 576件の新規受付があり、既済事件 547件、未済事件 296件となっています。
給与所得者等個人再生では、 47件の新規受付があり、既済事件 45件、未済事件 24件という結果です。
全国単位で見ても、埼玉県内に限って見ても、個人再生事件全体のうち、概ね9割以上の事件では小規模個人再生が利用され、給与所得者等再生の利用割合は全体の1割弱程度となっています。
これは、給与所得者等再生を利用すると、小規模個人再生を利用したときよりも支払の負担が重くなることが多いことが影響している(逆に言えば、小規模個人再生が成功する見通しがあるなら、敢えて支払の負担が重くなる給与所得者等再生を利用するメリットがない)ためと考えられます。
(3) 任意整理の詳細件数は不明
残念ながら、任意整理についての信頼できる統計データは存在しません。
その理由は、自己破産や個人再生は裁判所に申し立てる必要があるのと違い、任意整理とは、債務者と債権者の私的な同意に基づく債務整理手続だからです。
そのため、あくまで推定の話にはなりますが、任意整理の件数は、全国で年間数百万件単位とも言われています。
3.川越市で自己破産・個人再生をする場合
埼玉県の債務整理の状況を把握したところで、川越市で自己破産や個人再生をする場合に必要な情報を解説していきます。
まずは、申立をすべき管轄裁判所からです。
ある人が、何か事件を裁判所に申立をしたいという場合、日本全国どこの裁判所に申し立てても良いという訳ではなく、どの裁判所に申立しなければならないのかというルールが、予め決まっています。
川越市に居住されている方に関して言えば、申し立てる事件の性質によって、以下の2箇所の裁判所が管轄裁判所になり得ますが(ここでは、家庭裁判所が扱う離婚等の家事事件については省略して考えております)、こと自己破産や個人再生を申し立てる場合には、さいたま地方裁判所川越支部に申立てを行うことになります。
さいたま地方裁判所(本庁)
〒330-0063 埼玉県さいたま市浦和区高砂3-16-45
浦和駅西口から国際興業バス「志木駅東口・西浦和車庫・蕨駅西口(北町4経由)→県庁前下車」さいたま地方裁判所川越支部
〒350-8531 埼玉県川越市宮下町2-1-3
実は埼玉県内には、さいたま地方裁判所に加え、越谷支部、川越支部、熊谷支部、秩父支部と、合計5か所の地方裁判所があります(参考までに近隣の都県についても説明しますと、東京都は2か所、千葉県は8か所の地方裁判所があります)。
これは、お住まいの地域に近い裁判所が選べるように配分された結果です。
自己破産・個人再生の場合は、原則として、申立人の住所地を基準に管轄裁判所が決まりますので、川越市在住の方の管轄裁判所は、川越支部となるのです。
4.自己破産・個人再生の裁判所費用
次に、埼玉県川越市の裁判所費用について解説します。
自己破産、個人再生、それぞれ見ていきましょう。
※なお、以下に述べる裁判所費用は個人を想定しており、法人の破産・再生の場合は、これとは大きく異なります。
(1) 川越市でかかる自己破産の裁判所費用
同時廃止と管財事件では、それぞれ、裁判所費用が異なります。
同時廃止事件とは、処分して債権者に分配できる財産がないことや、免責不許可事由がないことが明らかな場合に行われる自己破産の方法です。
他方、免責不許可事由がある場合や、換価・分配できる財産がある場合(自宅や車など大きな資産をお持ちの場合や、99万円を超える預金などがある場合)は、管財事件となります。
同時廃止の場合
同時廃止の場合は、以下の裁判所費用がかかります。
手数料(印紙):1,500円
債権者用封筒:82円切手×債権者の人数
申立人宛封筒:82円×3枚
予納郵券:2円×債権者数と2円×2枚
官報広告費用:10,584円
全体としては、最低12,418円がかかります。債権者の数が増えると、その分金額が上がります。
管財事件の場合
管財事件の場合は、以下の通り裁判所費用がかかります。
手数料(印紙):1,500円
債権者用封筒:92円切手×債権者の人数
予納郵券:2,390円分(100円×5枚、82円×20枚、10円×20枚、2円×20枚、1円×10枚)
官報広告費用:13,834円
全体としては、最低でも17,816円が必要です。債権者の数が増える場合は、その分金額も上がります。
これら以外にも、管財事件の場合は、破産管財人費用(管財予納金)というものがかかります。
負債総額などの要件を満たすかどうかによりますが、弁護士が自己破産の申立代理人となる場合は、基本的には小規模管財(少額管財)事件となり、20万円程度が破産管財人の費用としてかかります(この少額管財という手続は、当初は、それまでの管財手続の特別ルールという形で運用が始まったものだったのですが、最近では、原則と例外が逆転して、少額管財をさして「通常管財」と呼ばれることが実務上も多いようです)。
他方、弁護士を代理人につけないで、本人で破産申立をした場合は、基本的には特定管財事件となり、管財人費用が50万円程度まで上がってしまいます(本来は、こちらの手続こそが管財事件の原則=「通常」の管財だったのですが、最近は、「特定管財」という、むしろこちらが例外というニュアンスを含んだ呼び方をされることが実務上も多いようです)。
この差は、弁護士が代理人についている場合は、本来管財人が行なうべき調査の多くを、専門家である代理人弁護士が予め行なってくれている筈だという、裁判所との間の一種の信頼関係に基づくものです。
このように、自己破産では、その手続によって裁判所費用が変わりますが、特に、管財事件の場合は、小規模管財(少額管財)事件として扱えるかどうかで、金額に数十万円単位での大きな差が生じてきます。
(2) 川越市でかかる個人再生の裁判所費用
では個人再生の場合はどのくらいの裁判所費用がかかるのでしょうか。
個人再生の裁判所費用は、以下の通りとなります。
手数料(印紙):10,000円
債権者用封筒:92円切手×債権者の人数
予納郵券:1,462円 (100円×5枚、82円×10枚、10円×10枚、2円×10枚、1円×20枚、2円×債権者数)
官報広告費用:12,268円
全体としては、最低23,822円が必要となります。債権者が増えると、その分費用も上がります。
また、個人再生の費用としては、これ以外にも、予納金というものを裁判所に収めなければいけません。
予納金は、通常15万円程度ですが、住宅ローン特則を利用する場合には、20万円程度が必要です。
住宅ローン特則とは、家のローンが残っている場合に、家のローンはそのままにして(従来通りに支払いをして)、ローン以外の債務を減額する方法です。
このように、個人再生では、総額17万〜24万円程度の裁判所費用がかかります。個人再生をご検討中の方は、参考にしてみてください。
5.債務整理の問題は泉総合法律事務所へご相談下さい
自己破産や個人再生は、借金を大きく減らす・ゼロにできるという点ではメリットの大きい債務整理方法です。
しかし、資産を失ったり、クレジットカードが作れなくなったり、ローンが組めなくなったりとデメリットも多くあることも理解しておかなければいけません。
そのため、「借金がゼロになる=自己破産」という点だけに注目してしまうと後で後悔することもがあります。
ご自身の借金額や返済可能額、収入、生活状況などを踏まえた上で、どの債務整理が適切かを判断しなければいけません。
ご自身にとって最適な借金問題解決方法を知りたい場合は、専門家である弁護士にご相談ください。実際の状況をお聞きした上で、ぴったりの解決策をご提案させていただきます。
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