自己破産のデメリットには何がある?
急激な社会状況の変化により失業者が増えています。また、勤務先の業績悪化で収入減に苦しむ人も少なくありません。
生活費の工面もままならない状態で借金の支払いを抱えていたら「この先どうして良いか…」と絶望的な気持ちになるでしょう。
しかし、借金の支払いをどうしてもできないときは、自己破産で問題解決する道が残されています。
とはいえ、自己破産と聞いてあまり良い気持ちになる人はいません。自己破産を巡っては世間でもさまざまな噂があるので、恐ろしいイメージをお持ちの方も多いでしょう。
確かに自己破産にはマイナス面もあります。しかし、基本的には借金に苦しむ方を救済するための前向きな制度ですので、やみくもに恐れる必要はありません。
現に、これまでも自己破産で助かった人は沢山います。
借金で困っているときに最も大事なことは、制度の内容を正確に知った上で、最善の選択をすることです。
今回は自己破産をご検討の方に向けて、気になる自己破産のデメリット、そしてメリットについても解説します。
このコラムの目次
1.自己破産とは?
自己破産とは債務整理の一種で、借金を全額免除してもらえる制度です。
債務整理には主に任意整理、個人再生、自己破産の3つの制度があります。自己破産以外の任意整理、個人再生は借金の減額を受けられる制度です。
この2つの制度はあくまでも借金が減るだけで全額免除とはなりません。手続後3年間で圧縮後の残債を返す必要があります。
しかし、自己破産をして免責許可が出れば借金を全額免除してもらえるので、免責許可の後は負債が0になります。以後は督促や借金の支払いに悩むこともなくなるので、経済的再建の道が開けます。
2.自己破産のデメリット
ここからは、自己破産のデメリットについて解説をします。
(1) 財産が一部を除いて没収される
自己破産をすると、借金は全額免除されますが、代わりに一部を除いた財産は没収されます。
具体的に言うと基本的には資産価値20万円以上の財産は没収・換価され、その後債権者に平等に配当されます。
対象となる財産は預貯金や不動産以外に、貴金属や有価証券、解約返戻金のある生命保険などが含まれます。
逆に言えば、20万円に満たない財産は手元に残せます。また、差押禁止財産に該当する家財道具など身の回り品、仕事道具、99万円までの現金なども没収を禁じられているので、これらはもっていかれません。
自己破産する方で多額の預貯金のある方はそうそういないので、一般家庭であれば実際に処分対象となるのはマイホームや車くらいでしょう。
(2) ブラックリストや官報に載る
自己破産をするとブラックリストに載ります。ブラックリストとは信用情報機関の金融事故情報のことで、自己破産をすると5~10年は個人情報が残ります。
ブラックリストに載っている期間中は、新たな借り入れもできませんし、クレジットカードを作ることもできません。
また、自己破産をすると官報に住所・氏名が掲載されます。官報は誰でも閲覧できるので、そこから自己破産情報が洩れる可能性はゼロではありません。
しかし、日常的に官報を目にする人は限られており、一般の方で官報を見ている人はほとんどいないので、官報掲載についてはそれほど気にする必要はないでしょう。
(3) 債権者を選べないので保証人に迷惑がかかる
自己破産には「債権者平等の原則」があり、一部の債権者を破産の手続きから除くような債権者を選ぶことはできません。保証人がついている負債も漏れなく対象に含まれます。
自己破産をすると債権者からの請求は保証人のところにいきます。保証人も支払いができない場合は保証人も自己破産することになるでしょう。
保証人に迷惑をかけたくない場合は、自己破産以外では任意整理といった方法での解決も検討しなければなりません。
(個人再生の場合でも保証人への請求は避けられません。)
ただし、仮に自己破産をするとしても、保証人のついている債務だけ事前に親族等に立て替え払いしてもらう方法もありますし、自身に収入があれば保証人が立て替えた分を自己破産後に保証人に支払っていくこともできるでしょう。
金額によっては対処できる場合もあるので、保証人がいるからと手続を諦めるのではなく、専門家への相談をおすすめします。
(4) 資格制限や引っ越しの制限などがある可能性
自己破産には同時廃止と管財事件の2つがあり、管財事件の場合は一定期間資格制限や引っ越し制限などがあります。
資格制限により弁護士、司法書士、公認会計士、その他一部士業や警備員、旅行業者、生命保険募集人など他人の財産を扱う仕事に携わる人は、一定期間仕事に従事できなくなります。
また、破産手続期間中は引っ越しなども裁判所の許可が必要です。これは逃亡や財産隠しを防止するためと、調査への協力が必要となるためです。
制限を受けるのは破産手続開始決定から免責許可決定確定までの3~6ヶ月の期間です。
(5) 税金は免責対象外
自己破産をしても税金などは免責対象とならないので注意が必要です。住民税、固定資産税などの税金を滞納している場合、自己破産後も引き続き支払をしなければなりません。
3.自己破産のメリット
ここまでに見てきた通り、自己破産にはデメリットもありますが、メリットもあります。
自己破産の代表的なメリットは次の3つです。
(1) 借金が原則全て免除される
自己破産をすると免責不許可事由がない限り借金は全て免除されます。借金は返済義務が残らないので、免責の許可決定を受ければその後は借金苦から解放されます。
(2) 弁護士依頼で督促も止まる
自己破産を弁護士に依頼をすると、債権者に対して受任通知が送られます。
弁護士から受任通知を受け取ったら、以後は督促できなくなるので、借金の取り立てをされることはありません。
督促電話もハガキもこなくなるので精神的にはとても楽になります。
(3) その後の生活への影響は限定的
自己破産をすると資格制限や引っ越し制限などはありますが、免責後は復権し制限も解かれるので仕事も引っ越しも自由です。
マイホームや車を持っていて、資産価値がある場合は没収対象となりますが、そうでなければその後の生活への影響は極めて限定的です。
4.自己破産は弁護士にご相談ください
自己破産にはデメリットもありますが、メリットもあることがお分かり頂けたと思います。
世間では自己破産をすると選挙権がなくなる、戸籍に載るなどの噂もありますが、それらは間違った情報です。
今現在、暮らしが立ち行かないほど困っているのに、不正確な情報に振り回されてしまうことは避けなければなりません。自己破産に際して重要なのは、正確な情報を知った上で正しい選択をすることです。
そのためには、いち早く専門家に相談をするのがベストです。
泉総合法律事務所川越支店は自己破産の解決実績が豊富です。経験豊かな弁護士がご相談者様に寄り添って、お悩み、困りごとを丁寧に伺い、最善の提案をさせて頂きます。
自己破産のご相談は何度でも無料です。弁護士費用も分割払いに対応していますので、まずは費用の心配をせずお気軽にご相談ください。
-
2019年7月22日債務整理 主婦が家族(夫)に内緒で借金問題を解決する方法
-
2019年12月19日債務整理 ゲームの廃課金による借金で破産をする場合は弁護士へ相談を
-
2020年5月8日債務整理 自己破産できるのはいくらから?