弁護士に不倫慰謝料の減額交渉をお願いしたいが、弁護士費用が不安…
妻(夫)がいる人と不倫関係に陥ってしまい、交際相手の配偶者から不倫慰謝料を請求する内容証明が送られてきたという方は、これからどうしたらよいものか不安になるでしょう。
日本の法律では、不倫は不貞行為といい、交際相手の配偶者に対して、不倫カップルの男女どちらも損害賠償責任を負います。
とはいえ、不倫慰謝料を請求されてしまった立場からすると、なるべく慰謝料の減額をしてほしいところです。
また、不倫をしているという罪悪感から誰にも相談できずにいるが、相手からも代理人弁護士からの内容証明がきていることもあるので、弁護士に相談したいという方もいらっしゃると思います。
日本はアメリカのような訴訟社会ではないので、これまでの人生で弁護士にお世話になったことがない方も大勢いらっしゃると思いますが、そのような方の場合、まずどれくらい弁護士費用がかかるのか心配になります。
この記事では、不倫慰謝料を請求されてしまった方向けに、弁護士に解決を依頼した場合に、弁護士報酬がどのくらいかかるのか相場や考え方をご説明します。
このコラムの目次
1.弁護士費用とは
弁護士は法律を使って、依頼主の法的問題を解決するサービス業です。
したがって、そのサービスは通常有償で提供され、その対価を弁護士費用、あるいは弁護士報酬とよんでいます。
2004年4月より前は、弁護士報酬は、弁護士会という弁護士の団体が定めるとおりとされていたので、どの事務所でも一律でした。
司法改革が進む前は、弁護士はサービス業とはいっても高尚な仕事というイメージが非常に強かったので、価格競争をするような業態ではないと考えられていました。
しかしながら、法科大学院制度もでき、弁護士や裁判官などの法曹人口が増えるにつれて、健全な競争は弁護士界にも導入されてしかるべきという流れになり、報酬の自由化がすすみました。
自由化といっても弁護士業は、高い倫理性を求める業種ですので、完全に自由ということではなく、事務所ごとに合理的な基準を定めることとされています。
2.不倫慰謝料を請求された場合の弁護士費用の相場
(1) 自由化の後の基準
合理的な基準となった時に、多くの事務所が、これまで適用されていた弁護士会の基準を選びました。
弁護士のスキルを金額で反映するのはなかなか難しいので、やなり何かのメルクマールがほしくなりますが、そうなると弁護士会という半公的な団体が決めてこれまで運用されてきた報酬基準であれば、妥当性があると考えられるからです。
したがって、自由化のあとも料金体系に大きな差はないのですが、継続案件や知人の紹介など、事務所ごとに決められた割引の適用を受けられることもあります。
弁護士報酬規定は、相手方がいて交渉するパターンの規定と、相手がいない法律行為の規定にわけられていますが、不倫慰謝料請求を受けての減額交渉ということは、前者の相手がいて交渉するパターンに該当します。
このパターンの計算式にあてはめつつ、着手金という対価と成功報酬という対価の2種類を、時期をわけて支払うことになります。
(2) 着手金と成功報酬
着手金は、弁護士に依頼を開始したときに支払う金額、成功報酬は事件が解決したときに支払う金額です。
上記のとおりほとんどの事務所では、旧報酬基準をそのまま使っていますが、着手金も成功報酬も、弁護士に依頼することによって依頼者が得られる経済的利益について、一定のパーセンテージを乗じることで算出します。
慰謝料請求を受けた方にとっての経済的利益とは、交渉によって得られた慰謝料の減額分となります。
(3) 不倫慰謝料の相場
実は、不倫慰謝料には決まった算定式はなく、夫婦の婚姻年数、不倫の年数、子供の有無、経済力、不倫前の夫婦の関係の良好さ、不倫関係において誰がリーダーシップをとっていたかなどのさまざまな要素が加味され、個別に決まります。
要素が加味されるというのは、裁判で争われた場合に、裁判官が妥当であると判断する金額決定のときであり、この金額は50万円~300万円が相場であるといわれています。裁判ではなく、当事者間の交渉であれば、双方が合意した金額になります。
したがって、腹を立てている交際相手の配偶者が上記相場からかけはなれた500万円という金額を提示してきて、それに応じてしまえば、500万円が慰謝料の額になってしまいますので、ご注意ください。
不倫慰謝料は、家庭の平和を害されたという精神的苦痛という目に見えないものに対して損害を填補するために支払われるので、当事者同士がこれくらいの損害だった、そうですね、と合意すれば、それで決まってしまうのです。
しかしながら、不倫慰謝料を請求された側の立場としては、判例の蓄積でどのような不倫慰謝料の相場であったかということを、しっかりと認識しつつ、交渉にのぞむべきといえるでしょう。
(4) 不倫慰謝料を請求された場合の着手金と成功報酬
上記を踏まえて、不倫慰謝料請求をされた方が弁護士に依頼することで得られる経済的利益はおおむね300万円以内に納まることが多いでしょう。
慰謝料を請求してくる方も、弁護士を代理人として交渉している場合は、当然判例によって認められてきた相場を意識して請求をしてくるので、おおむね200万円~300万円くらいの請求が一般的です。
200万円の請求について弁護士に減額交渉してもらうことによってたとえば、100万円に減額してもらえたとすると、依頼者経済的利益は差額の100万円となります。
旧報酬基準では、経済的利益が300万円以下の部分については、着手金が8%、成功報酬が16%としています。
ちなみに、相当な高額の請求をされた方の場合向けに、300万円―3000万円の経済的利益の場合も念のため付記しておくと、着手金が5%、成功報酬が10%になります。母数が高額な分、パーセンテージ率が調整されているのです。
ところで、依頼を受けた段階ではいくらまで減額できるかの結果がわからないので、多くの事務所は着手金についてみなし規定を設けています。
だいたい20万円~30万円としている事務所が多いと思われます。
(5) 着手金と成功報酬以外に必要となる費用
着手金と報奨金以外にかかる可能性があるお金は、弁護士の交通費等の実費などがあげられます。
また、依頼する内容のステージが大きく変化する場合、たとえば、依頼時は当事者間の交渉だったけれど、結局交渉では折り合いがつかず訴訟に発展した場合などは、対価が別途発生することがあるので、相手から強固に主張された場合自分としてはどこまで進むかということも弁護士に相談してみましょう。
依頼前に複数の事務所に相談して少しアドバイスをもらう場合は、相談料として1時間5,000円前後の料金が発生しますが、相談した弁護士にそのまま受任してもらう場合は、相談料は着手金と成功報酬の中に含めるものとして別途請求しない事務所がほとんどです。
また、初回相談料が無料という事務所も多くあります。
3.まずは実際に弁護士へ相談してみましょう
いかがでしたでしょうか。弁護士というと、高額だったり、何か敷居の高いものに感じてしまったりするかもしれませんが、実は明瞭な基準に基づき、また依頼することによって得られる利益に比例して報酬を支払う仕組みになっていることをご理解いただけましたら幸いです。
依頼によって得られる経済的利益に応じて弁護士費用を支払うということは、減額する前よりもご自身に不利になることがないということを意味します。
また、弁護士選びは費用の観点だけではなく、実際に会ってみて相談しやすかったり信頼できたりするという相性の部分や、その弁護士が過去不倫事件につきどれだけの実績を持っているかということも意識して選ぶことがよい結果につながるといえるでしょう。
既に知り合いの弁護士がいる場合はその方にお願いしてもよいですし、もし心あたりがない場合は、初回無料相談を実施している弁護士と数名話してみて、ご自身にあう弁護士を探してみてはいかがでしょうか。
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