後遺障害認定に必要な通院頻度や間隔はどれくらい?
交通事故の怪我が治らず、「後遺障害」が残ってしまうことがあります。
後遺障害の有無は、検査などから客観的にわかる場合もありますが、いわゆるむち打ちなどの場合、検査結果からは後遺障害の有無がはっきりとはわからず、その結果、痛みが残っているのに、後遺障害「非該当」となってしまうこともあります。
治療の目的は完治ですが、完治せず、後遺障害が残ってしまった場合に備え、通院時に気をつけなければならいことなどについて、むち打ちを念頭に解説します。
具体的には、まずは通院期間及び通院頻度について、次に通院に関する幾つかの注意点について、最後に後遺障害認定に関する基礎知識について解説します。
このコラムの目次
1.通院期間及び通院頻度
むち打ちの場合、一定の期間、一定の頻度で通院していないと、後遺障害が認定されにくいです。
以下では、初回通院の注意点を説明したうえで、通院期間及び通院頻度について解説します。
(1) 初回通院は整形外科へ
むち打ちの場合、大きな外傷はないこともあり、整形外科ではなく接骨院や整骨院で治療を受ければいいと考えてしまう方もいるようです。
しかし、接骨院や整骨院は病院ではありません。
現在の症状について正確に診断できないこともありますし、充分な検査もできません。
初回の通院は必ず、「整形外科」に行くようにしましょう。整形外科がある病院であれば、総合病院でも町医者でもどちらでも大丈夫です。
受診時は必ず交通事故によるものであることを説明し、必要に応じて、レントゲンなどの適切な検査を受けるようにしてください。
なお、なるべく事故後すぐに受診するようにしてください。
なぜなら、自覚は無いながらも重い怪我を負っていることもあり、その場合、すぐに治療が必要だからです。
また、事故からしばらく経ってから受診すると、事故と症状の因果関係が認められにくくなってしまうところでもあります。
(2) 通院期間及び通院頻度
前述のとおり、むち打ちの場合、一定の期間、一定の頻度で通院していないと、後遺障害が認定されにくいです。
逆に、受傷直後から継続的かつ定期的に病院に通っていると、「痛みがずっと続いている」ということの裏付けとなりますので、後遺障害が認定されやすくなります。
具体的にですが、通常、むち打ちの場合、6か月程度通院して、それでも治らなかった場合は、後遺障害として認定される可能性が高まります。
逆にいうと、たとえば3か月とか4か月の治療をしたにすぎない状態で後遺障害認定を申請しても、なかなか認定されにくいというのが現状です。
また、通院頻度としては、なるべく足繁く通院している方が(できれば週に数回)、後遺障害が認定されやすいという傾向があります。
2.通院に関する幾つかの注意点
先ほど記載したように、むち打ちの場合、6か月以上、かなりの頻度で通院して、それでも症状が残った場合は、「後遺障害」として認定されやすいです。
これが原則ですが、そのほか、幾つか注意すべき点もありますので、以下で解説します。
(1) 過剰診療の問題
先ほど、なるべく足繁く通院している方が(できれば週に数回)、後遺障害が認定されやすいと書きましたが、一方で、通院があまりに多すぎると(たとえば毎日通院)、過剰診療として、治療費の一部が自己負担になってしまうこともあります。これは、交通事故の治療費として加害者に請求できるのは、「必要かつ相当な実費」のみであるからです。
むち打ちで、毎日通院しなければならないのほどの重篤な症状があらわれることは多くはないので、毎日通院するとなると、それは「必要かつ相当」とはいえないこともあるのです。
しかし逆にいうと、毎日通院することが「必要かつ相当」なのであれば、当然、毎日通院すべきです。
そして「必要かつ相当」か否かは、基本的には、医師が、医学上の見地に基づいて判断します。
よって、基本的には、医師の指示に従いつつ、その範囲で、なるべく多く通院しておくべきです。
(2) 接骨院や整骨院への通院について
病院が遠い、診察に時間がかかる、時間が合わないなどの事情がある場合、病院ではなく接骨院や整骨院に通いたくなるところです。
しかし、先ほど書いたように、接骨院や整骨院は、病院ではありません。基本的に、どんな治療が必要かを判断して、治療を行うのは、医師です。
よって、医師の指示もなく、接骨院や整骨院に通うと、それは「治療」とは認定されず、治療費が自己負担になったり、後遺障害認定上も不利益を受けることがあります。
接骨院や整骨院に通う場合は、以下を守るようにしてください。
- 初回は必ず整形外科へ行く
- 接骨院や整骨院に通う場合は、医師に相談し許可を得る
- 事前に加害者側の任意保険会社に報告する
- 少なくとも1ヶ月に2回程度は病院へ行く
仕事をしながら週に何回も病院へ行くのは大変ですので、接骨院や整骨院を利用するのは選択肢の1つですが、かえってリスクを負ってしまうことあるため、必ずこれらの注意点を守るようにしましょう。
(3) 治療打ち切りの問題
何か月も治療しても治らないと、加害者側の保険会社からは、治療費支払を打ち切ると打診されることがあり、主治医からも、そろそろ治療を終わりにしてはどうかと打診されることがあります(治療費の打ち切り)。
しかし、先ほど記載したように、むち打ちで、後遺障害が残る可能性があるならば、6か月程度は通院しておきたいところです。
よって、症状がまだ残っているなら、治療費支払が打ち切られても、自費で、少なくとも6か月は治療して、それでも治らなければ、医師に、後遺障害診断書を書いてもらうようにしましょう(なお、後遺障害診断書を書いてもらったら治療を終わりにして良いということではなく、症状があるならその後も治療を続けてください。)。
ところで、場合によっては、交通事故とか、むち打ちに対して、あまり好意的ではない医師が主治医になってしまうことがあります。
中には、後遺障害診断書に、「これといった異常なし」などと書く医師もいますので、「この医師とは合わない」と感じた場合は、転院を検討してください。
3.後遺障害認定に関する基礎知識
ここまで記載したような通院上の注意点を守ったからといって、必ず後遺障害が認定されるわけではありません。
後遺障害を認定するのは、損害保険料率算出機構というところで、一定の審査があるかです。
そして、後遺障害認定のためには、以下の準備が必要です。
- 適切な期間、適切な頻度で通院すること
- 医師による適切な後遺障害診断書
- 必要な検査を受けること
- 過不足のない資料・証拠収集を行うこと
具体的な準備にあたっては、法律的・医学的見地が必要になることもあり、弁護士の協力が必要になるケースもあります。
4.川越で後遺障害認定を申請するなら弁護士へ
通院頻度や期間などで疑問をお持ちの方は、弁護士に相談するのも1つの方法です。
弁護士であれば、後遺障害認定に必要なポイントや、事前にできることなどをわかりやすくアドバイスすることができます。
後遺障害認定申請に関して不安・ご心配がある方は、交通事故案件に精通した弁護士にご相談ください。
泉総合法律事務所は、後遺障害認定の実績も豊富にあり、安心してお任せいただけます。ぜひ一度、お気軽にご相談ください。
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