強制わいせつで示談するためには弁護士へご相談を
「いきなり警察から電話がかかってきたと思ったら、夫が逮捕されたらしい…」
しかも、その罪名が「強制わいせつ」などといわれると、家族の方は動揺してしまうことでしょう。
強制わいせつで逮捕された場合は、一刻も早い示談が必要不可欠です。示談を早期にまとめれば、日常生活や将来への影響も最小限に抑えられます。
そして、早期解決の近道は、弁護士に依頼することです。
今回は、強制わいせつ罪で逮捕された場合の影響、示談の方法、逮捕後の流れ、在宅事件のケース、家族ができることをお伝えします。
このコラムの目次
1.強制わいせつで逮捕された場合の影響
家族が強制わいせつで逮捕されてしまった場合、その後の影響が心配になるでしょう。
逮捕の影響としては、以下のことが考えられます。
- 拘束されている時間が長いほど、日常生活への復帰は難しい
- 報道されれば氏名が出て周囲に知られる
- 有罪となれば会社解雇の可能性もある
- 再就職でも前科があると就職が難しいケースがある
強制わいせつで逮捕・勾留されると、一定の期間は通常の日常生活を送ることができません。
1日、2日であれば他の理由を告げても事実上問題ありませんが、それ以上長くなると事実を説明せざるを得なくなってきます。
また、逮捕はできれば周囲に知られたくないことですが、事案そのものが悪質・特異であるなどして、社会の関心事とみなされるような事件だった場合は氏名を報道されてしまうこともあります。
逮捕の時点で直ちに解雇となることは通常ありませんが、有罪となり懲役となれば、雇用主の信用を傷つけたなどの理由で会社も解雇されることが少なからずあるでしょう。
社会復帰後も、以前逮捕されたり刑事処分を受けた経歴を隠して就職したのが明らかになれば経歴詐称により懲戒解雇されるなど、前科前歴が問題になることがあるかもしれません。
このように、逮捕されてしまった場合の影響は大きなものです。
2.被害者との示談の方法
上記でご説明したような影響を最小限に抑えるためには、早期の示談が必要不可欠です。
被害者との交渉を通じ、謝罪とともに示談金(慰謝料)が支払われ、納得した被害者が検察官に寛大な処分を求めてくれれば、刑事処分の決定のみならず身柄拘束の継続の要否についても被疑者に有利な事情として考慮されるからです。
示談の方法としては、以下の通りです。
- 被害者の連絡先を得る
- 話し合いを開始する
- 示談書に内容をまとめ、調印する
- 示談金を支払う
もっとも、性犯罪の場合は被害者の連絡先を加害者自身が申し出てが得るのは難しく、仮に元々知っていたとしても、被害感情の強さから示談交渉に応じてくれないケースが多々あります。
示談が成立しなければ、起訴される可能性が高くなり、裁判の場でも不利な情状として量刑判断に影響するという結果に繋がります。
3.強制わいせつ罪で逮捕・勾留された場合の流れ
次に、強制わいせつで逮捕・勾留された場合の流れをお伝えします。
(1) 逮捕・勾留・起訴・裁判までの流れ
逮捕
強制わいせつ罪での逮捕には、大きく分けて2つのケースがあります。
犯行中、または犯行直後に捕まると現行犯逮捕となり、犯行後しばらく経ってから令状をもって逮捕されるのは通常逮捕となります。身柄拘束の始まるタイミングは異なりますが、いずれの方式でもその後の流れには大差ありません。
逮捕後は最大48時間拘束され、この間警察署にて取り調べを受けます。
検察へ送致〜勾留
逮捕後48時間以内に検察へ送致され、検察は改めて取り調べを行った後、24時間以内に勾留請求をするかどうかを決定します。
勾留請求が行われ、裁判官の判断により勾留が決定すると原則として、10日間留置施設に留まらなければいけません。
そして、最初の10日間で捜査が終了せず、検察官の請求を受けて勾留延長が決まった場合は、さらに最大で10日間(勾留請求の日から最大20日間)身柄を拘束されることになります。
起訴〜裁判
勾留中に起訴するかどうかが検察で判断され、起訴が決まれば裁判となります。
強制わいせつ罪の場合は罰金刑がないので、罰金刑のみが科される略式手続に進むことはありません(強制わいせつと評価できる程の行為がなかったとされた場合には、迷惑行為防止条例違反等のより軽い罪名に変更の上で処分されることもあり、その場合は正式裁判、略式手続、不起訴の三択となることがあり得ます)。
起訴決定から早くて1ヶ月半程度で裁判(公判手続)は始まりますが、起訴前に勾留されている場合は、保釈請求をして認められない限り、裁判中も勾留が続きます。
判決
判決では無罪・有罪が判断され、有罪となった場合は、強制わいせつ罪の場合懲役刑が科され、刑期の長短と執行猶予をつけるかどうかが決まります。公判手続を経てより軽い罪しか成立しないと判断された場合にはそれに応じたより軽い刑が言い渡されることになりますが、通常は判決の前に検察官が裁判所の意を受けて軽い罪に合わせて判断を求める事実と罪名を変更します。
以上が、逮捕後の流れとなります。
(2) 在宅事件の場合
強制わいせつ罪となる容疑が発覚しても、逮捕・勾留が行われないケースがあります。これを在宅事件といいます。
この場合は、いつも通りの生活を送ることができ、捜査機関や裁判所から呼び出しがあれば応じるということになります。
身柄が拘束されていないため「起訴はないだろう」と判断する人がいますが、在宅事件であっても刑事事件であることは同じです。
捜査の結果、強制わいせつ罪の容疑について十分な証拠があり、被害者に謝罪がなされていないなどの事情から悪質で起訴すべきと判断された場合には、起訴される可能性があります。
起訴後は、逮捕された場合のケースと同様です。
どのくらいの期間捜査が継続されるのかについて、身柄事件のような時間制限はありません。警察や検察の都合によりいつ処分されるかが変わってきます。そのため、事件が長期化し「起訴されるかもしれない」という気持ちで、数ヶ月過ごされなければいけない可能性もあります。
このように、身柄拘束されるケースと在宅事件のケースがありますが、どちらの場合であっても起訴される可能性はあり、早期の示談成立が重要です。
4.家族が弁護士に依頼するメリット
逮捕された本人に対し家族ができる大きなことの1つは弁護士に相談・依頼することです。
弁護士に依頼することに経済的な不安を感じる方もいるでしょう。
しかし、今の生活や将来への影響を考えると、できるだけ早い段階で事件解決することが望ましいといえます。
(1) 示談が早期にまとまる可能性がある
弁護士に依頼すれば、早期に面談できる、法的アドバイスができる、今後の見通しがわかるなどのメリットがありますが、これ以外にも示談を早期にまとめることができるという利点があります。
先にご説明したように、性犯罪の被害者はたとえ本人でなくとも加害者側と連絡を取ることを拒絶するケースがあります。
強制わいせつは精神的な被害が大きい場合も多く、また個人情報を相手に渡すことへの抵抗も考えられますから、これは仕方のないことです。
しかし、そんな場合でも、弁護士となら示談交渉に応じてくれることもよくあります。
弁護士は事件の第三者でありプロであるため、冷静にかつスムーズに示談を進めることができます。
示談をまとめることは事件の早期解決につながるため、ご家族や本人への影響も最小限におさえることができます。
(2) 起訴後でも示談により執行猶予や減刑の可能性
示談がまとまれば、以下のようなメリットがあります。
- 逮捕後3日以内に示談成立なら、その間に釈放される可能性もある
- 勾留中なら期間満了とともに釈放される可能性もある
- 不起訴の可能性が高まる
- 起訴されても、執行猶予がつく可能性や刑期の短縮の可能性がある
示談を成立させることは、刑事事件では非常に重要です。
「示談すれば必ず起訴されない」という保証はありませんが、起訴されない可能性が高くなるのは確かです。
弁護士に早期に相談・依頼すれば、できることも多いため、本人が得るメリットも大きくなります。
5.強制わいせつ事件なら弁護士にご相談を
強制わいせつ事件は、できるだけ早く示談をまとめることで、本人の将来や家族への影響を最小限におさえることができます。
泉総合法律事務所では、刑事事件を数多く取り扱い、事件処理にも精通した弁護士が強制わいせつ事件を担当します。
逮捕されたケース、在宅事件のケースどちらであっても、できる限り早くご相談いただくことで、弁護士が出来ることは多くなります。お悩みの方は、ぜひお早めにご相談ください。
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